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 第1回 興正寺別院、令和の大修復工事にむけて    ~この風景を記憶にとどめて~

現在、大修復工事に向けて内部見学が不可となっている興正寺別院ですが、令和4年5月18日、富田林興正寺別院 現副輪番・副住持 華園大心様に今後に向けてのお話を伺いました。

 

Q:インタビュアー

A:華園大心様

Q:どのような流れで今回の大修復工事に至ったのでしょうか。

A:まだここが重要文化財に指定される前、本堂の屋根の雨漏りを直そうと関係諸機関にご相談していた折に、この建物の重要性を考えればこの機会に重要文化財にしてもらってはとご提案いただき、指定を受けることになりました。そこから修復に向けての計画が始まりました。現状では正式な工事開始時期は令和6年度以降となっています。

現在の山門のようす

Q:工事開始に向けてどのような準備が進んでいますか。

A:昨年より内部見学はお断りしており、山門前からのご見学にとどめていただいています。当初はこの山門も閉め切るつもりだったのですが、この寺内町の重要な建物である興正寺の現状を少しでも見ていただけるようにしてはどうかと言われ、このようにしています。すでに何度も工事に向けての調査も入り、工事期間中の仏具等の移動に向けて内部の整理も進めています。重要文化財としての工事なので、単に新しいものに建て替えるのではなく、使える部分は残し、その部分に合うよう吟味した材料を継いでいくという作業になります。そのため通常の工事より準備期間や工事期間、そして費用的にも大掛かりになるそうです。

建物の老朽化が深刻な状況である

Q:これから工事が開始されるとお寺の辺りはどのような状況になるのでしょうか。

A:本堂など工事部分に素屋根を架けていくと建物は全く見えなくなります。また鼓楼は当初部分修理のみの予定でしたが、調査の結果虫害が見つかりこちらも解体工事の対象となりました。そのため鼓楼が一定期間、敷地内から姿を消すという状況も出てきます。また山門なども解体工事の対象なので素屋根を架けたり、シートで覆ったりになるでしょう。

この風景も当分の間見られなくなる

Q:現状から考えるとまったく想像がつかない光景ですね。工事が始まると山門の迦陵頻伽(かりょうびんが)も見られなくなるとは残念です。境内の中もだいぶ変わりますか。

A:はい。境内の樹木や記念碑は工事の邪魔になってしまうので撤去されます。記念碑は工事が終了したらまた元に戻しますが、樹木の方は1回抜いて10年後にまた元に戻す、といったことができませんので、残念ですが伐採するそうです。

境内にそびえ建つ立派な記念碑

Q:え、では今この山門から見られる境内の風景は2度と元には戻らないのですか。

A:そうです。本当は樹木を譲り受けてくださるところがあるといいのですが、なかなかそんなわけにはいきませんでした。かなり古い木で私が生まれるずっと前からある木です。敷地の端の方にある木はそのままですが、このソテツや松の木は伐採となります。

この風景も2度とみられなくなる日が

Q:では今のうちにこの風景を記憶に焼き付けておかなければなりませんね。工事終了後はまったく違う姿になっているかもしれませんから。

A:そうですね。

 

Q:だんだん工事にまだ取り掛からないでほしいような気がしてきました…。

A:ええ、でも早く工事が終了してくれないと、雨漏りも直りませんし、みなさんに参拝していただいたり、行事をとり行うこともできません。

今は近くで見ることができない本堂

Q:そうでした。お寺というのは本来人に集まっていただくための建物でしたね。失礼しました。これから興正寺別院を訪れる方は、今日見たその風景が1年後には素屋根やシートに覆われたものに変わり、そして10年後には新たな姿に生まれ変わっているという、時の流れに思いを馳せながら見ていただくことをお勧めします。そして、たとえ内部に入られなくても、山門のところでそっと手を合わせて心穏やかになっていただきたいですね。保存修理事業についてのパンフレットは山門前に配置してありますので、どうぞみなさんお気軽に手に取って概要をご覧になってください。ご寄進もまだ受付けなさっています。

A:そうですね、みなさんよろしくお願いします。

本堂から見た山門のながめ

専門的なことがわかっていないインタビュアーに、華園様は終始穏やかに、わかりやすく改修工事に向けてお話ししてくださいました。足元では愛犬のランちゃんがほんわりしていました。

ランちゃん

富田林興正寺別院

〒584-0033 大阪府富田林市富田林町13-18

電話番号 0721-23-3555

富田林興正寺別院公式WEBサイトhttp://t-koshoji.or.jp